目次
【1】ストックフォトを始める前に絶対知るべき「著作権」について
「著作権」とは「著作物」に付いてくる権利のことです。
まず、「著作物」は何かということですが、何となく思い浮かぶのは、著作物は絵画や彫刻など、一流の作家が制作したものに付随する権利=「著作権」というイメージが強いかと思います。
しかし、実は「著作権」という権利は、一般の人が普通に何気なく撮ったスマホの写真にも発生するものなのです。
その著作権が発生する時期についてですが、写真の場合はあなたがシャッターを押してスマホやデジカメに画像が保存された段階で著作権が無条件で発生します。厳密に言えば、全部が全部に著作権が生じるわけではなく、著作物には独自性が求められます。
ただし、独自性には曖昧なところがありますので、ここでは詳しく述べるのを控え、自分が撮った写真には自分に著作権があると思ってくださるぐらいで良いと思います。
あなたがシャッターを押して撮った枚数が300枚だったら、その300枚全てに著作権が発生するイメージです。
今の時代、スマホやデジカメで、気軽に何枚も写真を撮ることができるので、ほとんど意識することはないですが、あなたが撮影した写真は著作権が付随する「あなたの作品」だと思ってください。
だから、あなたが自分のインスタやツイッターなどのSNSやブログに、あなたの撮った写真をアップして、それを誰かが勝手にダウンロードして販売した場合、その人に対して著作権侵害の損害賠償を請求できることになります。
最近の悪い風潮ですが、著作権を軽んじたり無視して、他人の著作物である写真などを好き勝手に拝借し、YouTubeやTwitterなどのSNSやブログ上で安易に利用している人を多く見かけるようになりました。
特に、インターネットでは、「イイね」や「チャンネル登録」などを得ることばかり求め、そこに満足を得たり、収益に繋がるということで、一線を越える人がいます。
資本主義社会、ネット社会の現代社会では、人から注目を集めること、視聴、閲覧してもらうことが収益(お金)に変わるということで、ネットを上手に活用することで生活していくことが可能になりました。
一方で、著作物を作成する著作者、つまり身近なところでは、写真家・フォトグラファーやWebライターなどを職業とする人たちは、例えば、写真家の皆さんは、日々、どんな写真を撮るか、いつ写真を撮るか、撮影した写真を加工して自分の作品として仕上げまで行うなど、それらの作業に時間とお金、労力を費やしています。さらに、スタジオを借りて、写真モデルを依頼したり、機材の購入や、撮影するもの、そのものを購入したりしている場合も珍しくありません。
そんな作品を右クリック1つで保存して、勝手に使うことは著作権法違反であるとともに、著作者の心を踏みにじる悪質な行為であることを意識しなければなりません。
Webライターの皆さんが作成した文章にしても同様です。
数千から数万文字にも及ぶ文字数で文章を執筆しています。
当然ですが、それらの文章を作成するために構成を練り上げたり、資料収集をしたり、原稿として書き上げたものを校正し、見出しや目次を付けて、完成したものをネット上に公開します。
この一連の作業にも、時間とお金、そして労力を費やしているわけです。
これをコピペして、自分の作成した文章のように使うことは決してやってはならないことです。
もちろん、引用の範囲内で自己のブログの記事の中で紹介することは可能です。
その場合も、「引用」であることを明確にし、出典を記し、引用元のページのURLを記載するなどの方法で他人の著作物であることを明確にすることは最低限のマナーになります。
当然ですが、著作権法違反だという認識の下で違反行為を行っている人は論外です。
論外というか、悪いやつです。そういう輩(やから)は、いずれ訴訟などでトラブルを招いて窮地に立たされるでしょう。っていうか、他人のものを盗用して平気で使っていることに、プライドも何も感じないのでしょうか?って思ってしまいます。
そんな悪い奴らよりも心配なのは、「著作権」を意識することなく、「他人もやっているし、何も言われないから構わないんじゃないの」ぐらいで気楽に考えている人たちです。
「著作権」というのは「権利」なので、権利を持っている人、もしくは利害関係にある人が声を上げなければ何事もないように物事は過ぎ去っていくように思われる人もいらっしゃいます。
でも、法律違反なので、非常に危うい状態に置かれたままになっています。
その状態がネット上で公開されていて、世界中の人々の目に留まる状態にあるわけです。
「でも、ハンドルネームや匿名のブログだし、最悪アカウントが停止されても構わない」っていうふうに考えている人もいるかもしれません。
でも、アカウント停止までになってしまうということは、YouTubeやTwitterなどのSNSの運営者側や、ブログの場合だと、サーバーやドメインサービスの提供会社は、氏名や住所、連絡先を把握しています。
通常は個人情報は、守秘義務等の関係上、情報提供はされませんが、権利の侵害、損害賠償が発生した場合、裁判での情報開示がなされてしまい、匿名性は盾にならずに吹き飛んでしまうのです。
このことは、国・総務省のHPで明記されています。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai.html
結局、法律違反の状態でネットに公開するということを即座にやめないといけないということです。
著作権を持っている人が、今までは、自分の著作物を勝手に利用されていることに気付かなかったけど、ある日、気付いてしまい、「許せない!」と思い、突然相手を訴える場合もありますし、著作権を侵害されていることを知りつつも、大目に見ていたが、そろそろ我慢の限界ということで訴える場合などが考えられます。
それって本当に怖い状態、安心できない状態に置かれていると言えませんか?
いつ訴えられるか分からないという、爆弾を抱えているようなものですから。
インターネットが普及して、すごく便利になりました。
その反面、文章を選択して、右クリックでコピーもできるし、写真も保存できてしまうので、自分で文章を作らずにコピペしたり、ネット上にある写真を適当に拾ってきて使ったり、あまりにも簡単にできるので、気軽な気持でやってしまい、法律違反をしていることすら理解していない、無知な人が多いのが怖いです。
少々構わないだろう…これが命取りになります。
法律があって、ルールがある以上、それを守るのが当たり前であって、マナーだと思います。
【2】やめよう!権利を侵害したサイト作成
「著作権」とは別に、芸能人をはじめ個人のプライバシーを守るための「肖像権」という権利もあります。
最近、私がよく見かけるのは、芸能人やスポーツ選手、アニメなどのまとめサイトです。
特にYouTubeで、当たり前のように見かけるようになりました。
それらのまとめサイトが、著作権や肖像権を持っている人に連絡入れて、承諾の下で作成しているのであれば問題はありませんが、多くのサイトが無断で使用しているように思えてなりません。
著作権、肖像権とも、今のネット・デジタル社会だからこそ、利用する全ての人に内容を押さえておいて欲しい権利であることは言うまでもありません。
最悪、損害賠償訴訟を起こされるような場面にまでいってしまうと、まず敗訴する可能性が高いと思われます。
そうなると、裁判所が命じる支払い命令以外に、訴えた相手方の訴訟に関する費用が敗訴した側に請求されることになりますので、数万円~数十万円の訴訟費用が請求されても不思議ではありません。
そう考えると、「著作権」についてしっかり学ぶとともに、著作権の侵害は絶対にすべきではないことが理解できます。
【3】著作権の元になる「著作権法」とは
「著作権」は、「著作権法」という法律で細かく規定されています。
同法では「著作者」の定義も定められています。
〔著作権法 ~抜粋~〕
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
1 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
2 著作者 著作物を創作する者をいう。
上に掲げる「著作物」とは何を指すのか?それも、著作権法で定義されています。
(著作物の例示)
第10条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
1 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
2 音楽の著作物
3 舞踊又は無言劇の著作物
4 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
5 建築の著作物
6 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
7 映画の著作物
8 写真の著作物
9 プログラムの著作物
このように「8」で写真が例示されています。
さらに、著作権は、他人に譲渡することができるということが規定されています。
(著作権の譲渡)
第61条 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
こうやって、著作権法を少し見ていくだけでも何となく法律って難しいと感じることがあると思います。
「言葉」っていうものには、1つ1つに意味があって、少しの解釈違いが大きな誤解を招いたりします。
「著作権」という言葉は、誤解を招きやすい言葉の1つだと思います。
「著作権」というのは、何かを著作した人が最初に所有する「権利」のことです。
「著作」とは、何かを書き著したり、作ったりする行為を指します。
「著」という言葉が、動詞として一般化していないので、ややこしくなっていますが、「著」は「著す」と書いて「あらわす」と読み、「表す」と同じような意味になります。
つまり、「著作」とは、表したり、作ったりする意味になるんです。
したがって、「著作者」というのは、写真でいえば、「撮影した人」にほかなりません。
ということは、たとえ、「著作権」を第三者に譲渡してしまっても、「著作者」は未来永劫変わることがなく、「撮影した人」ということになります。
以上から、「著作者」は変わらないもの、「著作権」は譲渡によって第三者、さらにそこから他の第三者の手に渡るものとして理解をすることができます。
それから、「著作権」と同様に重要な権利があります。
それが、「著作者人格権」です。
この著作者人格権は、一身専属性という性質があって、著作権と異なり、他人に譲渡することができません。
(著作者人格権の一身専属性)
第59条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
さらに、この「著作者人格権」を細分化すると、「公表権」と「氏名表示権」、それに「同一性保持権」という3種類の人格権から成り立っています。
まず、「公表権」です。
公表権は、未公表の著作物を無断で公表されない権利のことです。
ただし、未公表の著作物の著作権を第三者に譲渡した場合、著作物の公表に同意したものとして扱われます。
次に、「氏名表示権」
自分の著作物を公表するときに、著作者の氏名を公表するかしないか、表示する著作者名を本名とするか、ペンネームとするかなどを決定できる権利のことです。
最後に、「同一性保持権」です。
自分の著作物の内容や題名を無断で改変されない権利のことを指します。
【4】著作権フリーの意味を誤解している人が多過ぎませんか?
「著作権フリー」という言葉をよく見かけます。
「フリー」=「自由」という意味に解釈してしまい、その写真などの著作物に加工を加えたり、トリミングしたり、自分が作ったサイトに好き勝手に掲載している人を見かけます。
それらの人の言い分を確認してみると、「著作権フリー」だから、その写真を「どう加工しても良いし」「何に掲載しても構わないでしょ」って主張されます。
それは誤った「フリー」の解釈です。
多くの著作権フリーの写真は、写真・素材販売サイトや、著作権フリーサイトからダウンロードして使うことが多いと思います。
「フリー素材」ってあるので、ついつい、その素材が自分のものだと思って、加工とか、切り抜き・トリミングとか、何に使用しても構わないように錯覚してしまいがちになってしまいますが、それぞれ使い方のルールがダウンロードサイト等に細かく書かれています。
また、写真・画像販売サイトにお金を支払って購入したものであっても、自由に写真を加工したりすることはできません。
著作権者や販売者の決めたルールに従って「利用できる権利」をお金で買うに過ぎないことを忘れてはなりません。
そのルールですが、細かく、いろいろ決められている場合もあります。
一例をあげると、
・利用するブログやSNSが公序良俗に反しないものであること
犯罪や反社会的なサイト、アダルトサイト、道徳的に批判が伴うサイトでの利用をNGとするもの
・トリミングや色を変えたり、文字を重ねたりした利用を認めないもの
・その写真や画像を商用・販売目的で使うことができない
・著作者のクレジット表記を記載しなければならない
以上のような要件以外でも、何らかの制約が課せられている場合があり、利用者はそれを守らなければなりません。
そして、私たちのような、ストックフォトで写真を販売するクリエイターは、自分の著作物を大切な作品として捉え、著作権法違反をしている人に対して、毅然とした対応を行うことも、権利であるとともに、義務でもあると思います。
いずれにしても、インターネットが便利である世界であって、多くの人々が有益に、楽しく使えることが1番大切なので、皆さん、ルールを良く学んで、誰の迷惑にもならないネット社会を築きましょう!