ふるさと納税

家計に愛される!ふるさと納税の返礼品と効果的な制度の活用について

ふるさと納税の返礼品の中で、特に人気が高いのがお米や肉類を始めとする食品です。

特に、地域の地産地消で育まれ、全国各地のその地域で親しまれている名産品は実際に足を運んだり、販売元に直接連絡して注文、配送まで頼んだりすると、別途割高な送料等が発生してしまい、その分お高いイメージが付いてきます。

結局、注文したくても何となくちゅうちょしてしまっていた。そんな経験ありませんか?

でも、ふるさと納税制度をうまく活用すれば、現地に出向いたり、直接連絡したりすることなく、割安で地域の特産品を送ってもらえて、そのうえ税金もしっかり控除してもらえます。

実際、ふるさと納税制度を上手に活用すれば家計の大きな助けにもなります。

折角ふるさと納税を行うなら制度を有効に活用して、よりお得なものを選びませんか?

そして、今までふるさと納税を行ったことのない人は、この機会に是非ふるさと納税マニアになってください。

たった2,000円の出費だけで1年間、全国の美味しい食材を堪能できるなんて。

実際、毎日の生活で必需品ともいえる食材でふるさと納税の返礼品としてもらえるものにはどんなものがあるでしょうか?

今回は人気の食材をピックアップして、実際にあなたが効果的にお得に活用する方法を見ていくことにします。

ふるさと納税

目次

1 ふるさと納税の返礼品で人気の食材とその理由

ふるさと納税は、その地域の特産品を返礼品としてもらえます。

各市区町村では独自色を前面に押し出そうと知恵を絞って様々な特産品をPRしています。

そんな中でやっぱり不動の人気を誇るのが、日々の食卓にのぼる食材の数々。

では、そんな食材の中で人気の5つを見ていきましょう。

1-1 ふるさと納税でお米を貰えば1年間お米代が節約できる

返礼品として一番人気のお米。
全国各地の農家の皆さんが愛情込めて作ったお米を食べ比べできるのがふるさと納税です。
   
主食であるお米は日本人の毎日の食卓に欠かせません。
大人1人が家庭でひと月に消費するお米は約4㎏といわれます。
※農林水産省「米の一人当たりの消費量はどのくらいですか。」より

ふるさと納税は、寄付をする人の収入額によって、2,000円を超える部分の寄付額を、そのまま住民税(市区町村民税+都道府県民税)と所得税から控除(税額控除)される仕組みになっています。

※ 住民税は前年(1月~12月)の収入に対して、翌年の6月に税額が決定して請求されます。

また、ふるさと納税も、その前年に寄付した金額が対象になりますので、イメージとしては税金が戻ってくるのではなくて、実際に支払わなければならない税金が減額される仕組みになっています(住民税の場合)。

ふるさと納税の控除の仕組みは難しいので、計算過程を一度見たぐらいではわけが分かりませんが、総務省の作成した「ふるさと納税に係る控除額の計算について」を見れば何となくイメージがつかめると思います。

税金の仕組みは複雑で市区町村の担当者も制度に初めて触れるときは頭を悩ませることが少なくないので、一般の人は寄付した金額から2,000円を差し引いた金額の税金が減額されて得をする!というイメージだけ思っていれば構わないと思います。

それよりも、私達、ふるさと納税をする側は、2,000円ぽっきりでどれくらいの返礼品を受けとることができるのか。ということを念頭にふるさと納税を楽しむぐらいがよいと思います。

そんな中、今回、食材を取り上げたのは、ふるさと納税で返礼品を受けとる中で一番お得感が得られるからにほかなりません。

今回、トップバッターにあげた「お米」ですが、全国各地の自治体で数多くの自治体がお米を返礼品にしています。

まさに、ふるさと納税の返礼品の定番ともいえるのがお米です。
そんなお米を返礼品にしている自治体を見てみると、寄付金額1万円前後で、5~20kgまでの幅があるものの、好きなお米を選ぶことができます。

年間の寄付の限度額は、総務省のHPに「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」と「寄附金控除額の計算シミュレーション」で概算を計算できます。
もう少し正確な金額を知りたい場合は、ふるさと納税ポータルサイトのふるさとチョイスの「控除上限額シミュレーション」などで、社会保険料等や各種控除額を入力することで算出することができます。

※ただし、医療費控除の金額や生命保険料の控除額は12月までに実際に支払う額によって異なりますので、あくまでもシミュレーション時点での目安になることに注意しておきましょう。

より詳細で正確な金額を確認したい場合は、住民税を支払っている市区町村の住民税の担当課に出向いて確認しましょう。電話だと個人情報なので教えてもらえません。

そうやって、自分自身の控除上限額を確認できたら、お米を返礼品とする場合を考えてみましょう。

ここでは一例として、総務省の納税額の目安の一部抜粋した表を見ながら考えることにします。

ふるさと納税を行う本人の年収700万円、共働き+子1人(高校生)の場合で考えてみましょう。
 
このケースの控除上限額は、86,000円になります。
つまり、年間合計で、86,000円をふるさと納税で寄付しても、86,000円-2,000円=84,000円が減税されます。
 
このことを念頭に置いて、ふるさと納税ポータルサイトの「ふるさとチョイス」で、キーワード「米20㎏、寄付金額10,000円」で検索すると、次のように10,000円の寄付で、20㎏のお米がもらえる地方自治体がヒットします。

3人家族だと、ひと月のお米の消費量は、前述の農林水産省「米の一人当たりの消費量はどのくらいですか。」より約4㎏×3人=12㎏なので、20㎏あれば、2カ月近くお米を買う必要がなくなります。

したがって、年6~7回、10,000円ずつの寄付で1年間お米を買う必要がなくなるわけです。

実際にスーパーやネットショッピングでお米20㎏がどのくらいの価格で販売されているのか見てみると、楽天市場で「米、20㎏」で検索すると、次のような商品がヒットしました。
安いもので4,980円、高いもので6,980円(10,000円、12,000円の価格が表示されている商品は楽天市場を通じてふるさと納税ができるというものなので除外しました)と価格の幅がありますが、ふるさと納税を行った場合の2,000円の自己負担を差し引くとして、2,980円~4,980円を得した計算になります。

ふるさと納税を複数回行っても、2,000円の自己負担は1回だけなので、以後6回、同様のふるさと納税をした場合、最低でも4,980円×6=29,880円、1回目も含めると32,860円もお得になります。

ふるさと納税の返礼品の中で、お米に人気があるのが分かるような気がしますね。

1-2 高級で美味しいお肉を記念日の食卓に

週に何度か食卓のテーブルに登場するお肉、ふるさと納税で不動の人気を誇るのが肉類の返礼品です。

・牛肉
返礼品にはブランド和牛が勢揃いしています。
お米と並んで、ふるさと納税の返礼品で多くの自治体が取扱っているのが肉類です。

特に牛肉は高級感も相まって人気が高いのが特徴です。
肉類は、お米と違って1回の食事で食べきってしまうことがほとんどだと思います。
その分、お誕生日等の特別な日にふるさと納税でゲットした高級和牛を食卓に登場させれば家族のみんな大喜びです。

・豚肉
ビタミンB1たっぷりの豚肉、疲労回復に豚肉を好んで食する人も大勢いらっしゃいます。

牛肉と比べると安価なことから、10,000円の寄付で国産ブランド豚を選ぶことができます。

国産ブランド豚の食べ比べをしてみるのもいいかもしれませんね。

お肉

1-3 鮮度を保ったままクール便で届く魚介類

島国の日本列島は周囲を海に囲まれているので、私たちは新鮮な海の幸を食する文化が当然のように生活の一部になっています。

しかしながら、何百キロも離れた遠い地域の新鮮な魚介類を食べる機会はそう多くありません。

でも現代社会の発達した交通網と宅配技術の革新によって、クール便を使って日本全国に新鮮な魚介類を届けられるようになりました。

ふるさと納税で返礼品に選ばれている魚介類の数々は、その地域の自慢の逸品です。

そんな品々の中から魚介類の食べ比べをしてみるのも楽しいでしょう。

1-4 美味しい野菜は農家の心のこもった賜物

お米と並んで毎日の食卓に欠かせないのが野菜です。

ふるさと納税のポータルサイトを眺めてみると、改めて感じるのは、日本列島全国各地で多くの農家のみなさんが、丹精を込めて栽培した野菜の品揃えに驚きます。

全国各地の道の駅やJAなどに併設された農産品の直売所では地元の農家の方々が早朝から新鮮な野菜をかごや棚に並べて地域の人々に新鮮な野菜を安価な価格で提供しています。
しかしながら、新鮮で安価な野菜はすぐに完売してしまい、地元の人でもなかなか買えないこともめずらしくありません。

ふるさと納税を利用すれば、新鮮で旬の野菜を品切れの心配なく手に入れることができます。

ふるさと納税ポータルサイトで「野菜」を検索して眺めてみると、珍しい野菜、量もたっぷり野菜の詰め合わせなどを産地直送で送ってもらえます。

近所のスーパーに行かなくても自宅から注文できる手軽さに最近は、ふるさと納税の返礼品で野菜の詰め合わせを選ぶ人も増えました。

1-5 旬な果物を食後のデザートに

最後に、ふるさと納税の返礼品として人気が高いのが果物です。

日本は温暖な気候と北は北海道から南は沖縄まで気温差もあって実に様々な果物を楽しむことができます。

交通網の発達によって遠く離れた地域の果物も楽しむことができますが、高価でなかなか手を出すのをためらう果物はふるさと納税を活用すれば、産地直送なので安価に手に入れることができます。

2 ふるさと納税で家計は二重にお得

ふるさと納税制度は、2008年(平成20年)5月にスタートしました。

制度が始まってから15年が過ぎた今でも、制度がよくわからないなどの理由で、ふるさと納税をやったことがない人も多くいらっしゃいます。

過去に日本経済新聞で取り上げられたニュース記事(2021.8.3)によると、ふるさと納税の利用者は「10人に1人」とされています。

記事内では、「一定以上の所得があって住民税を支払うべき納税義務者は日本に約5,900万人もいるから・・」との記述があります。

総務省の公表する人口推計では、総人口は、約1億2,494万7,000人(2022.10.1)とされているので、ふるさと納税を活用して何らかの恩恵を受けられる人は日本の人口の約47%です。
この中で、実際に制度を活用しているのは1割程度という現実に驚きます。

ふるさと納税がなかなか活用されない理由として、国を始め、ふるさと納税制度を運用する各地方自治体のPR不足ということも否めませんが、「お役所」「税金」「手続きが面倒」などのキーワードが見え隠れして、それらがハードルを高くしているという理由もあるでしょう。

一方では、「ふるさと納税マニア」とも呼べるくらい、ふるさと納税制度を上手に活用して、この制度を家計の助けにしている人々もいます。

それらの人々は、ふるさと納税を活用することで具体的にどんな恩恵を受けているのでしょうか?

2-1 納税するあなたの財布は痛まないワケ

ふるさと納税は寄付をする金額が2,000円以上であっても、実際の負担は2,000円だけで済むということと、何よりも寄付先の自治体の特産品を実質ダダでもらえるところに大きな魅力があります。

国(総務省)の基準では、返礼品の価格の上限は寄付額の3割以下にしてくださいという通知が各地方自治体に出され、各地方自治体はそのルールを基に試行錯誤しながら独自の特産品を選定しています。

この3割という基準は一般的に市場で同様の商品が販売されている価格ではなく、「返礼品等の調達に要する費用の額については、当該返礼品等の原価や定価」という記述が、国(総務省)の「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A」の中にあります。

さらに、その中で送料を含めた経費割合を5割以下に押さえるように通知しています。
詳しい解説として、「ふるさと納税に係る指定制度の運用について(解説・総務省自治税務局市町村税課 鍋田将樹)」などが参考になります。

国の基準に当てはめると、10,000円の寄付額に対して、3,000円相当の返礼品ならOK、送料等も含めると5,000円相当ならOKということなので、2,000円の自己負担を超える部分はそのままお得ということになります。

ふるさと納税制度を少しだけ深く知ることで、一層のお得感を得ることができます。

いずれにしても、ふるさと納税で返礼品をPRするために、各地方自治体は、よりよいものをより安く調達するなど創意工夫して選定していますので、私たちは、選りすぐりの返礼品の中から好きなものを受け取ることができるのです。

例えば、年収700万円の夫婦2人世帯(配偶者に収入がないケース)の場合、年収700万円の人は、年間で86,000円ふるさと納税をしても、実質は86,000円-2,000円=84,000円が住民税から減額(ワンストップ特例利用の場合)、もしくは所得税と住民税から同額が減税されます。

また、1つの地方自治体に86,000円、まるまる寄付をするのではなく、例えば、10,000円を8か所の地方自治体、もしくは同じ地方自治体に8回に分けて寄付をすれば、基本的に2,000円の自己負担1回のみで、10,000円以上の寄付を対象とする返礼品を8回受け取ることができます。
※ 一部の地方自治体では、最初の1回のみ返礼品を送る対象にして、2回目以降は返礼品を受け取れないところもあるので、事前に確認が必要になります。

2-2 地域を応援することで得する制度がふるさと納税

そもそもふるさと納税制度は、税収の減少に悩む自治体が独自に創意工夫して税収をふやすことを可能とするために創設された制度です。
 
地方自治体の運営は、原則、税収で賄うこととされ、国税や都道府県税部分については、国や都道府県から市町村へ支出金や補助金として交付されます。

さらに不足分を地方交付税交付金として国が地方に分配するのですが、ふるさと納税制度は、住民が地方を応援するために、直接寄付をして、財政支援を行い応援できる仕組みになっています。

特に最近では、大雨や地震等で被災した自治体を応援するために、ふるさと納税制度を活用する人もふえてきました。

ただ、前述したように、ふるさと納税を行って何らかの恩恵を受けることができる納税者のうち1割程度しか制度を利用しておらず、国も地方自治体もより積極的なPR活動が求められています。

2-3 日常生活品を返礼品にすればお得感が倍増する

ふるさと納税の返礼品には実に様々な品が用意されています。

そして、ふるさと納税の代表的なポータルサイトを見ると、大手ショッピングサイトのような作りになっています。

ふるさと納税のポータルサイトで、「人気ランキング」「お礼品から探す」「地域から探す」など、検索項目を絞って、ピッタリの返礼品を探すことができます。

ちなみに、代表的なポータルサイトでキーワード検索に「お米」と入力して検索してみると、実に18万件以上もヒットします。この中からお好みのお米を選べるわけです。

前述したように、家庭での国民1人当たりのひと月のお米の消費量は、約4㎏なので、夫婦2人世帯の場合、月に8㎏、家族4人世帯で月に16㎏の消費量になります。

家族構成にもよりますが、寄付者の年収を700万円とした場合、1万円の寄付で、20㎏の受け取ることができ、年間では6~8回寄付を行うことが可能です。

つまり、2,000円の自己負担で、年間120~160㎏分のお米がもらえるわけです。

スーパーで買えば安いお米でも、最近は10㎏で3,000円はします。
つまり、単純計算でも、36,000~48,000円分のお米が実質2,000円で手に入れられるなんて、すごいお得感がありますよね。

今回は、筆者が考える最も家計に優しいと思われる「お米」を具体的に取り上げましたが、その他、野菜の詰め合わせなどの食材のほか、ミネラルウオーターやトイレットペーパーなどの生活必需品もふるさと納税を活用することで格安で得ることができるわけですから、ふるさと納税制度を活用しないのはもったいないといえます。

3 ふるさと納税をする前に必ず確認しておきたいこととは?

ふるさと納税をうまく活用すれば家計の助けになるということはお分かり頂けたと思います。

ただし、活用するに当たっての注意点がいくつかあります。
この点を理解しておかないと、単純に寄付をしただけということにもなりかねません。

ここでは、ふるさと納税を行う前に確認しておくべきことを取り上げてみます。 
 

3-1 そもそもふるさと納税は「納税」ではなく「寄付」だった

「納税」と聞くと、「税金を納めること」と誰もが思います。しかし、「ふるさと納税」は寄付制度になります。

また、自治体への寄付という行為は、今までもありました。
もちろん、今までの寄付の制度も存在しますが、ふるさと納税と大きく異なることがあります。

それは、返礼品がもらえるかどうかということもありますが、控除の対象が異なります。

従前の寄付金は所得控除の対象になりますが、ふるさと納税の寄付は税額そのものが控除されるということです。

納税者にとって非常に分かりやすい税額控除を適用することで、ふるさと納税を行う納税者のハードルを下げています。

3-2 ふるさと納税を行って得する人と損する人

ふるさと納税制度は誰もが寄付により恩恵を受けられるわけではありません。

まず、住民税や所得税を納めている人であることが前提になります。
当たり前ですが、控除する税金が賦課されていなければ、引き去る対象がないので寄付をしても得られるメリットがありません。

3-3 ふるさと納税を行って損をしない限度額を確認しよう

ふるさと納税は、住民税と所得税の税額が控除されることもあって、収入及び家族構成等によって、2,000円の自己負担だけで済む上限額が決まっています。

厳密にいえば、その年の1月~12月の年収と家族構成、その他の控除によって決定します。総務省のHPの表はあくまで目安に過ぎません。

より詳細に確認しておきたい場合は、住民税を納付している市区町村の住民税を扱う窓口を訪問して尋ねてみてください。

細かい部分は個々の状況によって異なりますし、個人情報が絡んできますので、電話やメールでの回答はしてもらえません。
少し手間がかかりますが、直接市区町村の窓口を訪問することをお勧めします。

3-4 ふるさと納税の寄付金額によって選べる返礼品が変わってくる

あなた自身のふるさと納税の寄付額の上限を確認できたら、次はどのように寄付を行うか考えてみましょう。

ふるさと納税のポータルサイトを見てみると「寄付金額〇〇円」という記載があります。

いくら以上の寄付金額でその返礼品がもらえるという目安になります。

これを見てピンときた方も多いのではないでしょうか?
ふるさと納税は年間の寄付の回数に制限がありません。
※ ただし、サラリーマン等が確定申告をわざわざしなくても、会社等で年末調整してくれるタイミングで寄付金控除してくれるワンストップ特例制度を申し込む場合は、年間に寄付できる自治体が5自治体以内となります。6自治体以上になる場合は確定申告が必要になりますので注意が必要です。
 なお、このワンストップ特例制度を使用する場合は、所得税からの控除は発生せず、翌年の6月以降に支払う住民税から控除されるようになります。

この点に留意しつつ、お得なふるさと納税の活用法を考えた場合、返礼品がもらえる寄付金額のボーダーラインの寄付金額で複数の地方自治体に分けてふるさと納税をすることをお勧めします。

まず、前述したように、お米などの生活必需品にターゲットを絞るやり方が一番家計に優しいと思われます。

一方で、お肉やお魚、旬の果物等、食を楽しむ意味でふるさと納税を楽しむやり方もありますし、純粋に応援したい自治体にふるさと納税をする人もいらっしゃいます。

3-5 ふるさと納税をしようと思う人はふるさと納税用に資金を確保しておきましょう

意外に思う人もいるかもしれませんが、ふるさと納税をちゅうちょする理由の1つに寄付資金を捻出できないことがあげられます。

厳密には、それなりに収入がある人がふるさと納税をするわけですから、資金的には確保できるはずなのですが、ふるさと納税を日常生活、ライフプランの中に組み込んでいない人の場合、突発的な出費ゆえにふるさと納税をする機会を失してしまう人がいます。

ふるさと納税は暦年で1月~12月を1サイクルの期間に設定されています。ということは、理想としては前年の12月末に翌年のふるさと納税を行う年間の資金を確保しておくのが理想といえます。

会社員等のサラリーマンの場合、多くの人はボーナスがあると思われますので、そのときにふるさと納税用の資金を確保しておくのもよいかもしれません。

4 ふるさと納税を行ったあとの処理・確認について

ふるさと納税は寄付から始まって、確定申告(ワンストップ特例制度利用の場合は不要)をして、税額の控除の確認までして完了になります。
定期的に複数回の寄付を行えば、1年を通じて行わなければならないことが発生します。

4-1 ふるさと納税を行ったらお礼状と寄付金受領証明書が届けられた

ふるさと納税を直接地方自治体に申し込んだり、ポータルサイト経由で申し込んだりすると、寄付先の自治体からお礼状と寄付金受領証明書が郵送で届きます。

お礼状に関しては、保管しておく必要はありませんが、寄付金受領証明書は翌年2月15日からの確定申告で必要になりますので大切に保管しておきましょう。

寄付金受領証明書が複数あると保管するのも何かと手間がかかるものです。

そんな方には、ふるさと納税のポータルサイトで自治体発行の寄付金受領証明書を1つにまとめた「寄付金控除に関する証明書」を申し込めばこの1枚の証明書だけで確定申告に使うことができます。

「寄付金控除に関する証明書」の発行は、確定申告の書類の提出を紙で行う人は、郵送で送ってもらえますし、申告をe-Taxで行う人は、証明書も電子発行してもらえます。

4-2 翌年の住民税納税通知書(6月発行)を確認して住民税から適切に控除されているかどうか

一番気になるのが、寄付した金額の2,000円を超える金額がきちんと税金から控除されているかどうかということです。

確認する方法としては、まず、ワンストップ特例の申請が適用されたケースでは、6月に発行される「住民税決定通知書」の摘要欄に記載されている「寄付金税額控除」の金額が、「ふるさと納税で寄付をした金額-2,000円」になっているかどうかを確認しましょう。

一方、確定申告を行った場合は、所得税の還付と住民税の税額控除の両方を確認する必要があります。

まず、所得税の還付については、確定申告書の控えの「還付される税金」に記載されている還付額を確認しましょう。

次に、住民税については、市区町村から6月に郵送で送られてくる「住民税決定通知書」の住民税の控除金額を確認し、所得税の還付額との合計が「ふるさと納税で寄付をした金額-2,000円」になっていればOKです。

もし確認してみて何か疑問に感じたら、「住民税納税通知書」または「住民税決定通知書」を発行した市区町村の住民税担当課を訪れて、疑問に思ったことを尋ねてみましょう。

4-3 前年12月までには翌年のふるさと納税の資金を確保し、寄付をする時期と回数を決めておく

前後しますが、②で住民税からの控除を確認できる6月には、すでにその年のふるさと納税の対象となる年月がスタートして半年近くが経過しています。

ふるさと納税の控除対象期限の12月までには、翌年のふるさと納税の計画も視野に入れておきましょう。

5 まとめ

ふるさと納税は、これまでも述べてきたように、あやしい制度ではなく、国と市区町村と地域が知恵を絞りだして地域の活性化のために力を注いでいる寄付金制度です。

私たち納税者がこんなおいしい制度を活用しない手はありません。
税金とか確定申告、控除とか、聞くだけで遠慮したい言葉に、お役所が考えた仕組みなので分かりにくいとかめんどくさいと感じる人も多いと思います。

実際、2008年(平成20年)5月にふるさと納税制度がスタートした当時は、国や市区町村の担当者でさえも制度の理解に頭を悩ませ、試行錯誤を繰り返していたという話も聞きます。

国が音頭をとったこの制度は、国と個々の市区町村の縦の繋がりはあったものの、各市区町村が、ホームページや広報紙などの限られた媒体で、しかも単独でふるさと納税(寄付)を募るというPR手段しかありませんでした。
 
そのような中、ふるさと納税制度がスタートした時に既に創設されていた、ふるさと納税のポータルサイト「ふるなび」に続き、2012年の「ふるさとチョイス」、2014年の「さとふる」の開設によって、各地方自治体のふるさと納税の返礼品を横断的に検索できる仕組みが構築されました。
最初は、各地方自治体もポータルサイトとの契約に係る手数料負担やその効果が不明なので掲載に二の足を踏む自治体もありました。

しかし、各ポータルサイトの営業努力と、実際にポータルサイト経由での申込数の増加に伴い、各地方自治体も単独でふるさと納税を募集するよりも効果的、効率的であるとの判断で、次々にふるさと納税専門のポータルサイトへの掲載を決めていきました。

今では、楽天市場やヤフーショッピング、Amazonなど、大手のショッピングサイト顔負けのサイト構成や品揃えに、私達、ふるさと納税をしてみようと思う人々にとっても、ふるさと納税に対するハードルが随分低くなったと感じます。

この記事の最後に、ふるさと納税をする上でのメリット、デメリット、そして注意すべき事項を再度述べておきます。

この機会に是非お得なふるさと納税生活への一歩を踏み出していただければ幸いです。

【メリット】

◆実質2,000円の寄付で寄付額をはるかに超える価値の特産品をもらえます。
※ 総務省のシミュレーション等による収入と家族構成等に基づく試算までの寄附については、複数回に分けて寄付をしても、自己負担は2,000円のみ。寄付の都度、自己負担2,000円が発生するわけではありません。
したがって、可能な限り上限の金額まで寄付をした方がお得になります。

◆ふるさと納税ポータルサイトでは多くの自治体と提携して、クレジットカードを利用した寄付を可能にしています(一部利用できない自治体もあります)。
したがって、クレジットカードのポイントを得ることができます。

◆ふるさと納税を行った翌年の住民税、その年の所得税(ワンストップ特例を利用した場合は住民税のみ)が、「寄付額-2,000円」分減額されるので得をした気分になれます。

◆お米等の生活必需品を返礼品に選ぶことで、経常的な家計の支出を減らすことができます。

寄付可能額にもよりますが、お米を特産品として定期的にもらっている人は毎年の年間のお米代を実質2,000円で済ませている家庭もあるみたいです。

◆ふるさと納税ポータルサイトに掲載の様々な返礼品を見比べて楽しめます。

ふるさと納税にハマっている家庭の中には、家族会議を開いて、返礼品を何にするか決めている例もあるようです。

家族の団らん、コミュニケーションを図る場を提供するという役割もふるさと納税は担っているみたいです。

◆応援したい地域へ寄付ができます。
あなたの故郷や応援したい地域、大雨や地震等で被災した地域へふるさと納税制度を通じて寄付ができます。

一般的な寄付や義援金の場合は多額の寄付等を行うことにちゅうちょしてしまいがちですが、ふるさと納税はそのハードルを引き下げてくれます。

【デメリット】

◆ふるさと納税は、住民税の減額、所得税の還付により金銭的な恩恵を受けられることから、ふるさと納税をするタイミングでは、一時的な持ち出しが必要となります。

ふるさと納税を計画的に活用しようと思った場合は別として、急に、ふるさと納税をしようと思った場合は、突発的な出費が必要になります。

◆ふるさと納税を行ったあとに郵送されてくる「寄付金受領証明書」を確定申告まで保管しておくのが面倒になります。

毎年、確定申告の時期になると関係書類を慌てて確認したり、再発行を請求したりと苦労をされる人も多いと思います。

前もって保管しておけばよいのですが、人間何かとルーズになりがち、「取りあえず、ここに挟んでおいて・・・」、いつの間にか行方不明になってしまうことも少なくありません。

ふるさと納税後に送付されてくる「寄付金受領証明書」もそんな書類の仲間になります。

◆ふるさと納税を行った際の税額から控除される金額が正確に反映されているか不安で気にしてしまいます。

控除がきちんと行われているかどうかは、翌年の6月頃に発行される「住民税確定通知書」等を見ないと分かりません。

個々の状況によって異なりますが、例年、所得税・住民税に関して、他の控除(所得控除・税額控除)を申告している場合は、その点を十分気を付けておきましょう。

また、医療費控除等の突発的に控除対象がふえる年もありますので、ふるさと納税で損をした気分にならないためには、年の初めに上限額目いっぱい寄付をするのではなく、計画的に寄付をしたり、年末が近づいてきたりしてから寄付をする方が正確な上限額を算定しやすくなりますので計画的にふるさと納税を行うようにしてください。

いずれにしても、個人で考えても不明な場合は、住民税を支払う予定の市区町村に問い合わせてみてください。

◆ふるさと納税することで、自分の暮らす市区町村の税収入が減ってしまいます。

一般的な解釈では、ふるさと納税を行うと、寄付を受けた地方自治体の収入は増加して、その分、寄付をした人の住む地方自治体の税収は減少することになります。

その点間違いではありません。
ただし、国においては、住民税が減少した地方自治体に対して、その額の75%を補填する仕組みがあります。

総務省資料「ふるさとに当たる地方自治体が受領した寄附金と、住所地において控除される住民税の交付税上の取扱い」参照

地方交付税を国からもらっている地方自治体で、ふるさと納税制度で実質住民税の歳入が減少した場合は75%が補填される仕組みがありますが、東京23区をはじめとする地方交付税不交付団体は、ふるさと納税制度自体に異論を唱えているようです。

一方では、北海道紋別市や宮崎県都城市のように、年間で150億円前後のふるさと納税による寄付を受けている団体もあり、各地方自治体にとってはまだまだ解決する課題も散見されます。
 
いずれにしても、私たちはふるさと納税を活用することで目に見えて得をすることになるので、この制度を是非活用してみてください。

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